《 神風さまへ 》
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 晴れの海


その名がもたらすイメージの
なんて美しく
なんて傲慢であることか


石くればかりの大地を
私たちは海と呼び
呼び起こされたイメージに囚われ
憧れの眼差しで見上げる


水をたたえることなく
海の名を与えられたその場所には
波立つ水面もない荒涼とした光景を見下ろすように
青い星が浮かぶのだろう


晴れぬことの決してない
名を裏切らぬその海が
波立つ水面を知らぬまま
水に覆われた惑星を見上げ続ける


月は
一度くらいは夢見たろうか
海の名を持つ場所に水満ちる夢を
青い星に寄り添いながら
同じ色に染まる夢を


なんて美しい名前
なんて傲慢な行為
私たちはそこを海と名づけた
晴れの海と


海と呼べる水は無く
荒涼とした大地が広がるばかりでも
青く包まれた星の上で
憧れの眼差しが見上げる
その名に惹かれて







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