新月、あるいは二十九夜
思い出が住みついている彼方の国で 上下する旋律の ためらいがちな静けさ 戯れるように響いて 行き交う言葉 遠い体音 つなぎあった指と指はいつも 熱を移しはしなかった
星を呑む欠片の月には 誰も気がつこうとしない ささやかに地球を映しとり 束縛の夢をくり返している やがて来る朝を見るように
伸べた皮膚と肌の接点に残る愛撫の可能性 リズムに沿って消えてゆく、熱