海市




温む風に喉をそらして
聴こえぬ響きを探す
届かぬ香りを探る
居所を見失って
ぬかるんだ
夜を歩く


求めても手には入らぬ
願おうと決して叶わぬ
海を離れたこの土地で
変わらぬ空を見上げて


降りそそぐ星々よ
幾度も
声なく祈る


いつか
たとえ幻でも
ぬかるんだ夜の
夢でも








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