散 華



枯れた魚(うお)の骨
白あせた砂原に
さらさらとほどけて泳ぐ
やがて一色(ひといろ)にまじりあうまで
さまよう
ひどくゆるやかに


神の子は気まぐれに海原を渡り行き
彼方の浅い海で華々しく枯れた木々を折り取る
残酷な手は荒れた花園をふり返ろうとはしない
花々はあまりに脆く


枯れた骨の棲処(すみか)は取り壊され
更地に還るために崩れ始めていた
白あせた水底にゆらりとふるえて
呆然と押し潰された
かけらはさらさらとほどけて微塵に散り
いつか吐息のようにかすんでゆく
やがて何もかもが一色にまじりあい
次の花を待つ
いつ開くのか、決して知り得ぬ花を


神の子はいつも気まぐれに彼の世界を散策し
たわむれに指先をひらめかせる
撫であげられた全てが悲鳴をあげるわけでもなく
けれど、それはあまりに強く


花々はあまりに脆くて






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