雪おこし




海の上に雷雲が集っている
びかびかとけいれんしている
夜空は暗く荒び
雲だけがしきりにびかびかと青褪める


雪が来るのだ
雷は荒れた水面を叩き
はね散らされた飛沫は凍りついて陸に吹く
大仰にのけぞる松の幹を真っ白に埋めて
やがて境を失うように混じる天地


薄白く明るい夜の真上では
びかびかと雲が輝いている
ごうごうんと止まぬ海鳴りのあいまに
轟く電雷の激しさは
水面に爆ぜて雪を散らす


雪が来るのだ
風の後には雪が
ありとあらゆるものを埋めて消す嵐が
雷にかき乱されて吹きまわる
びかびかとけいれんする雷雲の下
ありとあらゆる世界は儚くなり影も形も無い
天地四方より吹き殴られて存在を見失い
ただ唸る海の方を望めばそこから
びかびかとせわしなく煌めく雲と
真白な雪が来るのだ






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