食めば甘くも香るだろう




春深く
辺り見回せばいつからか
花溢れ出し
毀れ落ち


だがまだと
冬の名残りを引きずる枝は
人目には
枯れ木に似ていた


目覚めろと
陽射しは煽る
待ちきれず
風は揺さぶる
時が来るまで人目には
枯れ木にすぎぬその枝を


やがて新芽は吹き零れ
脆くやわらかく枝を包む
その命
食めば甘くも香るだろう
生きる強さそのままに







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