斜 陽




赤金(あかがね)の陽は熔けて海に溺れ入る
彼方はるかに煮立つ波


火花散り雲が色づく
羨むほどに迷いなく
ひらり横切る帰巣の翼
私をひとり置き去りにする


混じろうとしても色をなさず
夜を間近に吹く風を
髪にからめて立つ岸辺
滴るは
闇よりもなおの孤独
誰も知らない


残照に迷う夕暮れの月
ゆるゆるとたゆたうくらげ
鮮やかすぎる世界への違和感を抱いて
夜を恋いながら消えてゆくための場所を
けれど
誰も
知りはしない







/BACK/