名 残
張りつめた障子戸に じんわりと滲む、蒼色
明かりを消せばいっそうに澄み 声を弔い 手足を投げて溺れひたる
夜闇がただ黒一色ではありえぬことを そんなふうに知った
眠りは遠く 曖昧なまま指先をすり抜けて
独り
夜明かしの終わりに ゆるゆると薄まってゆく 紙一枚を隔て見慣れたこの 夜の色