熱 風
強く激しくその風は
内外を
吹き
荒らした
枝は軋み折れ
熱に晒された葉はことごとく
一夜のうちに
枯れ
落ちて
実りの季節を前に
今更芽吹く新芽
後は冷えてゆくばかりの空の下に
蕾がためらいなくほころびる
あるはずのない花よ
あってはならぬ花
今を咲くのは間違いだと
嘆かれる
でも
狂い咲きでも
花はただ、花
あなたの傍らに咲きたいの
実もつかぬ
枯れ落ちるばかりの未来でも
あなたのまなざしを
手に入れることができるのだから
熱風が吹いた
枯葉をふり捨てて
花が
開く