Coin Pusher



みしみしとつめこまれ
機械音は狭苦しい箱の中へ
がなりたてられたところで
肩触れる隣人にさえ届きもしない言葉
空々しい

もう夢中なわけじゃない
止め時を失ってるだけ
そうさ、そろそろおしまい
投入口に最後のコイン
無造作に放り込めば途端に
やたら響く音じゃらり
零れて落ちる手の内
狙わない時に限って大当たり

押して引いて
単純な動きに似すぎた
ありふれたかけひき企てて
止めようとするたび与えられる
愛の言葉もふいうち

無くなったらおしまい
勝ちの基準だけが見えない
手の平に生ぬるく熱を帯び
捨て損ねてはまた増える
狙わない時に限って大当たり
あふれ出すのは、ナニ?





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