冬 籠
積もり始めた雪に 世界は沈黙を強いられていた
香と熱が肌を撫でたのだろう 慌しく唇からほとばしりかけた呟きが ひやりと歯を凍らせる
すぐに窓を閉めたけれど 室内には雪降る音が満ちて 全ての音を圧倒してしまった
私の呟きもまた木霊のように ゆるやかに呑まれた