《鳥追いの夢》
光沢を失った月が人の夢に似てくる時間




 朝を嫌い、足どり淡く逃げ出す獣が
 月の行方を問う鳥に脅えている
 毛並をかき乱した風は
 硝子のように澄んでいる


 目覚めを誘う瞬間
 眠りを知らず転回し海に傾く夜は青
 さまようように波間に落ち削れる星の影は青
 行方を失い交じりあえば
 硝子のように澄むのだろう


 風のからんだ指先に月を求め
 草原を鳥追いが行く
 青く額に夜を染めてひとり
 脆い足跡を踏みしだきながら
 さえずりを搦め捕る


 はばたきは夢間(むま)に避行(ひこう)する気配
 追いすがる額に夜
 夜明けを知らぬ青をかざす夜
 月は光沢を失いながら傾き
 翼の編みあげた巣は
 鳥追いの至らぬ森にある


 迷いの端に立てば青く
 額を夜に染めてひとり
 硝子のように澄んでゆく


 色硝子のようにくすんでゆく






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