21. 雪 ひらり舞い落ちてそれは 白く 白く 白く埋める 冷たく 硬く 埋め尽くす 儚いなんて 嘘だ |
22. 雨 あめあめ ふれふれ いつまでだって あめあめ ふれふれ むかえなんてこないよ ごわごわのくもに そらはまっくら かさはあっても なくてもおんなじ あめあめ ふれふれ ぜんぶぜんぶびしょびしょ |
23. 蒼 わたしは そこに 溶けて いくよ 悲しまないで 形を変えて 永遠に 抱きしめて いるのだから |
24. 鈴の音 人ごみ深く こぼれた響き 気配はかすか あふれる足音の中に まぎれる背中の向こうで 凛と |
25. 神様 仰々しい儀式 美々しい名前 物々しい主義主張 麗々しい堂屋 やたらやけに形式ばった そんなものに ではなく 私たちが 人や草木や動物や星や そんな全てが あたり前に在ることにこそ 名も姿もなしに あなたの存在を感じます 仄かに そして 確かに |
26. 金魚 小さな硝子鉢の中で溺れる 鮮やかにゆれる衣装は衣装は ひらひらときれいでしょ しめつけられて息もできない どうか忘れないで ここにいるワタシ 気まぐれの愛玩で 連れてこられたワタシ その眼差しだけが ワタシの理由のすべて あなたの他に 頼る相手を知らないの 要らないの 夏が終わっても ねえ ここにいられる? |
27. アジアの風 千万の海波を越えて 届く風の色は黄色 まだ見たことのない大地の色が 吹き来たる春 |
28. ため息 諦めることに慣れた とっくにそのつもりで ほんとに 自分が一番わかってない ため息の数がそう 教えた |
29. 月 いつだってご自由に どうぞご覧くださいな 変幻自在を気取っても 裏側は決して見せてくれない 実際、秘密主義だよね |
30. 夢 明け方に埋もれてゆく 幾万の わたしのかけら |
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